株式会社ビジネスインフォメーション アンド アドバイザー
浜野哲夫公認会計士事務所・税理士事務所 / 田中弘実税理士事務所
所属税理士 橘 創一 / 横井 司
会計・税務・
経営関連情報
コラム
相続税法に贈与税の配偶者控除という規定があります。
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
条件が合えば基礎控除のほかに2,000万円まで控除することができ、贈与税の負担が無く、又は贈与税の負担が少なくなって財産の移転ができます。
そこで、生前に配偶者に居住用不動産を贈与し贈与税の配偶者控除の規定を適用した場合は、相続(税)は有利になるのでしょうか?これより検討していきたいと思います。
まずは前提条件を次のようにします。
居住用不動産:3,500万円(家屋500万円+その家屋の敷地土地3,000万円 ※土地の面積200㎡)
現預金:1億6,500万円
遺産総額:2億円
被相続人:夫
相続人:妻、子供×2名
相続割合:法定相続割合(妻50%、子供25%)
基礎控除(改正予定額):4,800万円(3,000万円+600万円×3人)
相続税の税額控除は、配偶者に対する相続税額の軽減(相続税法19条の2①)のみとする
居住用不動産には、夫と妻が同居しており、相続開始後も引き続き妻が居住する
居住用不動産の贈与は2,000万円とし、家屋・土地の固定資産評価額の割合で適用するものとする
(家屋2,857,143円+土地17,142,857円=2,000万円)
前提条件に基づいて相続税を計算しますと、生前に居住用不動産を贈与しない場合の納付税額が11,931,800円、生前に居住用不動産を贈与した場合の納付税額が11,447,600円になります。
その納付差額は484,200円となり、生前に居住用不動産を贈与したほうが相続税は少なくなりました。
ただ、小規模宅地等の特例の影響ですが、贈与税の計算で課税価格から控除された2,000万円がそのまま相続税の課税価格の減少となりませんので納付税額にはそれほど大きな影響はでませんでした。
仮に遺産総額が前提条件と異なる場合の納付差額は、以下のようになりました。
遺産総額が1億5,000万円(居住用不動産3,500万円+現預金1億1,500万円)で納付差額が356,400円
遺産総額が2億5,000万円(居住用不動産3,500万円+現預金2億1,500万円)で納付差額が364,000円
遺産総額が3億円(居住用不動産3,500万円+現預金2億6,500万円)で納付差額が605,600円
このようにいずれの場合であっても相続税は少なくなりました。この点においては生前に居住用不動産を贈与したほうが相続(税)は有利になると言えるでしょう。
ただし、贈与や相続などにより財産が移転したときは所有権の移転登記をすることになるのですが、その登記手続の際に登録免許税の負担が発生します。
登録免許税の税率は、贈与の場合で1,000分の20、相続の場合で1,000分の4です。
贈与税の配偶者控除の規定により2,000万円の贈与をした場合は、登録免許税が400,000円(2,000万円×20/1000)になります。
一方、相続であれば登録免許税が80,000円(2,000万円×4/1000)になり、贈与の場合に比べますと320,000円の負担差額がでます。
前提条件で遺産総額が2億円の場合では、相続税は484,200円少なくなりますが、登録免許税が320,000円増加となりますので、税金負担の軽減は164,200円と少なくなってしまいます。また、前提条件で遺産総額が2億5,000万円の場合は、税金負担の軽減は44,000円とかなり少なくなってしまいます。
このほかに不動産取得税が発生する場合もあり、所有権移転登記を司法書士に頼めば司法書士報酬も発生します。
贈与税や相続税だけに着目して生前に居住用不動産を贈与すると、思わぬ税金などの負担が発生することになります(もちろん、贈与は税金などの負担のみを考慮して行うものではないと思います)。
生前に配偶者に居住用不動産を贈与し贈与税の配偶者控除の規定の適用を検討するときは、贈与税や相続税だけではなく他の税金や費用の負担も考慮し、また贈与すること自体のメリット・デメリットも含めた総合的な判断をされることをお勧めします。
なお、個々の具体的な税務判断につきましては、専門家に相談のうえ行って下さい。(ST記)
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