株式会社ビジネスインフォメーション アンド アドバイザー
浜野哲夫公認会計士事務所・税理士事務所 / 田中弘実税理士事務所
所属税理士 橘 創一 / 横井 司
会計・税務・
経営関連情報
コラム
マイホームと税金(各種節税&相続対策)平成24年度税制改正後
~知ってトクする!?買ったとき~リフォームしたとき~売ったときに係る税金の優遇制度~
第5回(最終回):マイホームを売って、譲渡損失が出た場合~所得税の軽減
「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
1.内容
通常、土地や建物を売ったときに譲渡損失(譲渡価額<取得費+譲渡費用の場合)が出ても分離課税なので、給与所得や事業所得と損益通算することはできませんが、売った年の1月1日において所有期間が5年を超えるマイホームの売却により生じた譲渡損失であれば損益通算や繰越控除をすることができます。
①新たにマイホームを買い換える場合の特例
売ったマイホームの代わりに新たなマイホーム(床面積が50㎡以上に限る)を取得し、その売った年の12月31日において、その新たなマイホームの取得に係る住宅ローン等の残高がある場合には、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができ、その損益通算によっても控除しきれない譲渡損失があるときは、その売った年の翌年以後3年内の各年分の所得から繰越控除することができます。
②新たにマイホームを買い換えない場合の特例
住宅ローン等の残高があるマイホームを、その残高を下回る価額で売却し譲渡損失が生じたときは、その住宅ローン等の残高からマイホームの譲渡対価の額を控除した残額を限度として、その譲渡損失の額について①と同様に損益通算及び繰越控除をすることができます。
損益通算ができる額の具体例~譲渡価額2,000万円、取得費及譲渡費用5,000万円、住宅ローン残高3,000万円
譲渡損失 2,000万-5,000万=△3,000万
限度額 3,000万-2,000万=1,000万
3,000万 > 1,000万 ∴1,000万円が損益通算及び繰越控除ができる金額
2.適用要件
イ:自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。(親族等への譲渡は除く)
ロ:譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える日本国内にある住宅の売却で、かつ、新居宅を購入した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込であること。
ハ:譲渡の年の前年1月1日から譲渡の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50㎡以上であるものを取得すること。
3.注意点
イ:繰越控除が適用できない場合
(a) 繰越控除を適用する年の12月31日において新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合
(b) 旧居宅の敷地面積が500㎡を超える場合は、その超える部分に対応する譲渡損失の金額については適用できません。
(c) 合計所得金が3,000万円を超える年は、その年のみ繰越控除は適用できません
ロ:次の場合には損益通算及び繰越控除の両方が適用できません
(a) 売り手と買い手の関係が親子や夫婦など特別な間柄でないこと(生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含む)
(b) 売った年の前年及び前々年にマイホームの買換や交換の特例又はマイホームを譲渡した場合の特別控除や軽減税率の特例の適用を受けている場合
(c) マイホームを売った年又はその年の前年以前3年以内の年において、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の規定の適用を受けている場合
[ まとめ ]
今回のコラムでマイホームに関する税金の優遇制度の紹介はひとまず終了です。マイホームが関係することだけみても実に色々とあることが分かっていただけましたでしょうか。住宅借入金等特別控除くらいは知っておられても、リフォームにも適用されることまでは知らなかった方も多いんじゃないでしょうか。
住宅取得等資金の贈与に係る特例については相続税対策にもなりますし、マイホーム購入を検討中の方(親や祖父母が資産家の場合に限りますが)にとっては後押しする情報にもなりうると思います。上記の規定については併用できるものもあれば、選択となるものもあります。選択が必要な規定についてはよくよく考えて適用を受けて下さい。
なお、復興特別所得税が創設されたことにより、平成25年から平成49年までは所得税額の2.1/100が追加で課税されます。
当コラムの内容は平成24年4月時点のものですので、今後の税制改正等によっては内容が変わる可能性もあることをご了承下さい。
(了)(HO記)
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