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浜野哲夫公認会計士事務所・税理士事務所 / 田中弘実税理士事務所
所属税理士 橘 創一 / 横井 司
会計・税務・
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コラム
[ はじめに ]
税金には実は様々な優遇制度があります。しかし、そのほとんどが世間に知られておりません。たまに新聞やテレビで報道されることもありますが、よほど意識していないと見逃してしまうのではないでしょうか。
そこで、今回はそんな優遇措置のうち『マイホーム』に関連するものについてまとめてみました。内容を知っていれば、マイホームの購入やリフォームを考えている人にとっての検討材料にもなりますし、相続について考え始めた人にとっても役に立つ情報になると思います。
「住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例措置」
「相続時精算課税制度の住宅取得等資金に係る要件緩和」
平成23年12月31日までにマイホームの取得や増改築について、直系尊属(父母や祖父母)から資金援助を受けた場合に通常の贈与税の基礎控除額(110万円)に平成22年と23年に限り住宅非課税枠を『上乗せ』することができます。
また、相続時精算課税制度とも併用することができますので、贈与税非課税枠がぐんと拡がることになります。
<住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額の特例>
課税価格計算において次のように贈与税の非課税限度額が上乗せされます。
・
贈与税や相続税は課税価格(上記カッコ内の金額)が多いほど税率が高くなる累進税率なので、
納税差額は上記の例で最大667万円となり、その効果の大きさが伺えます。
<相続時精算課税制度を選択した場合>
さらに『相続時精算課税』を選択すれば、2,500万円の特別控除枠も受けられます(ただし基礎控除の110万円は無くなります)。
※デメリットもあるので選択は慎重にする必要があります(下記参照)。
その場合の非課税枠は、
・H22年中の贈与:1,500万円 →特別控除額2,500万円と合わせて4,000万円まで非課税
・H23年中の贈与:1,000万円 →特別控除額2,500万円と合わせて3,500万円まで非課税
「相続時精算課税」とは?
相続時精算課税とは、贈与時には通常より優遇された特別な計算方法により贈与税額を計算し、相続時(その贈与者の死亡時)に、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額をまとめて相続税額を計算するものです(すでに支払った贈与税があれば控除されます)。
通常贈与税は暦年課税で1年ごとに課税価格を計算(受贈額-基礎控除額110万円)し、その課税価格に対応した
税率で税額を計算するが、贈与税の税率は相続税の税率に比べて割高になっているので納税負担が大きくなります。
そこで相続時精算課税を選択すると、特別控除枠2,500万円が設定され、それを超える金額については一律20%の税負担だけで贈与税を計算し、その後贈与者が死亡したときに贈与財産を相続財産に合算して相続税額を計算します。
※特別控除枠を超えて納付した贈与税は相続税からは控除されます。
上記の住宅非課税を組み合わせると良いことずくめのようですが、当然『デメリット』もあります。
この方法を一度選択してしまうと、暦年課税(原則)にもどすことができず贈与税額は累積で計算されるようになるので、暦年課税における毎年の基礎控除額110万円は適用され無くなります。従って、たとえ年に110万円以下の贈与であっても、特別控除枠を超えた金額については20%の贈与税額が発生します。
具体例~H22年に住宅資金3,800万円、その後H23年に500万円、H24年に100万円の贈与を受ける場合
H22年の計算:3,800万円-住宅非課税1,500万円-特別控除枠のうち2,300万円 →課税価格、税額ともに0円
H23年の計算:(500万円-特別控除額の残額(2,500万円-2,300万円))×20%=60万円
H24年の計算:100万円×20%=20万円
※H24年は暦年課税であれば基礎控除110万円以下であるが、精算課税選択でかつ特別控除枠2,500万円をすべて使い切っているので贈与額全額が課税されます。
相続時精算課税は相続が発生しても、相続税が基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)内でかからない人や、かかっても少額である人には非常に有効だとは思いますが、相続財産が数億あるような人にはあまりおすすめできません。
①特例の対象となる贈与の要件
イ:自己が居住するための一定の住宅の新築または建売住宅もしくは中古住宅の対価に充てるために受ける金銭の贈与であること
ロ:自己が日本国内に所有し、かつ自己が居住している住宅の増改築等の費用(100万円以上のものに限る)に充てるために受ける金銭の贈与であること
ハ:贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた金銭の全部を費用に充て、かつ同日までに居住していること又は同日以後遅滞なく居住することが確実であると見込まれること
※『一定の住宅』の要件(以下の規定において共通要件となります)
・日本国内にあり、床面積が50㎡以上であること
・中古住宅は耐火建築物である住宅の場合は建築後25年以内、耐火建築物でなければ建築後20年以内のものであること
・店舗兼住宅等の場合、床面積の2分の1以上に相当する部分が居住の用に供されるものであること
②受贈者(財産をもらう人)の要件
イ:受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上で、贈与者(財産を渡す人)の直系卑属であること(相続時精算課税の場合は推定相続人である子)
ロ:非課税限度額の特例を受ける場合は、贈与を受けた年分の所得税における合計所得金額が2,000万円以下であること
(給与のみの場合、額面収入額が22,842,105円以下)
③相続時精算課税選択適用の場合の贈与者の要件
相続時精算課税の贈与者は65歳以上という要件があります。しかし平成23年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、贈与者が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
<贈与税の税率>
課税価格(各種控除額控除後) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 無し |
200万円超 300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
<相続税の税率>
課税価格(各種控除額控除後) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 無し |
1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超 3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 | 50% | 4,700万円 |
上記を見比べると、相続税では1,000万円超でも3,000万円以下ならば税率が15%であることに対して、贈与税は
1,000万円を超えれば全て税率50%となることから、いかに贈与税の税率が割高か一目瞭然です。
イ:『贈与税の非課税限度額の特例』については、父母から子への贈与だけでなく、祖父母から孫への代飛ばしの贈与についても適用されますが、『相続時精算課税』については父母から子への贈与に限ります。ただし、子が死去している場合には孫への贈与も適用されます。
ロ:『年齢』については、すべて1月1日現在を基準とします(以下同じ)。
ハ:合計所得金額とは欠損金の繰越控除額があっても、その控除前の金額となります(以下同じ)。
ニ:贈与の対象はあくまで金銭であり、不動産そのものの贈与は対象外となります。
(このコラムは2010年08月26日現在の情報に基づいて作成しました。)
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