株式会社ビジネスインフォメーション アンド アドバイザー
浜野哲夫公認会計士事務所・税理士事務所 / 田中弘実税理士事務所
所属税理士 橘 創一 / 横井 司
会計・税務・
経営関連情報
コラム
消費税法では収入印紙の譲渡につき、下記の定めがあります。
「郵便切手類販売所若しくは印紙売りさばき所における郵便切手類又は印紙をもってする歳入金納付に関する法律第3条第1項各号における印紙の譲渡」は非課税取引となります。(消費税法6条1項)
金券ショップは、一般に上記の郵便切手類販売所等には該当しません(収入印紙を券面額に満たない金額で販売しているところは間違いなく該当しません)。つまり、 金券ショップが収入印紙を販売しても非課税取引とはならず 、消費税の納税が必要となります。 つまり、 金券ショップで収入印紙を買った人は課税仕入を行ったことになり 、下記の仕訳が必要となります。
設例[1]:金券ショップにて、額面10,000円の収入印紙を9,800円で購入
【購入時の会計処理=仕訳】
(借方)貯蔵品 9,333 (貸方)現金 9,800
仮払消費税 467
【使用時の会計処理=仕訳】
(借方)租税公課 10,000 (貸方)貯蔵品 9,333
雑収入 667(※1)
※1: 上記仕訳の「雑収入 667円」が課税取引に該当するか否かが問題となります。この雑収入の性格は、物やサービスの対価として受け取ったものではありません。強いて言えば「9,333円の貯蔵品が1万円の印紙として使用されるときに、667円の評価益が発生した」、あるいは「先行取得により現金割引を受けていた物の割引料相当分が利益として実現した」と考えることが出来ます。評価益と考えれば「課税対象外」となり、割引料と考えれば「非課税取引」となります。税務上「利息」というには割引契約などの裏付けが必要になると思われます。以上のことから、これを評価益と考え「課税対象外」処理するのが合理的な処理方法ではないでしょうか。
「雑収入667円など計上せずに、租税公課 9,333円で良いのでは?」
このようなご意見を多数いただきます。これには2つのポイントがあります。
1. 費用計上は、購入時か使用時か
2. 損益計算書に表示すべき租税公課はいくらか
1.については本コラムの論点ではないので割愛します。
2.は、「収入印紙の割引調達」と「納付すべき租税の発生事由」は、それぞれ別取引と考えるべきです。
収入印紙をどこで購入したかにかかわらず、本来課された税額を表示すべきでしょう。
したがって、前述の雑収入667円の計上が必要となるわけです。
こう考えれば金券ショップで収入印紙を購入すると、467円の仮払消費税を計上し、消費税の納税を減らし、消費税の課税されない雑収入667円を計上することが可能となり、大変有利です。
このような処理をして、消費税の転嫁は正しく行われ、消費税課税制度に問題は生じないのでしょうか。それには「金券ショップへ収入印紙を売却した人」と「金券ショップ」双方の会計処理を考えなければなりません。
設例[2]:郵便局で収入印紙を10,000円で買った人が、金券ショップへ9,600円で売却
【購入時の会計処理=仕訳】
(借方)租税公課 10,000 (貸方)現金 10,000
【売却時の会計処理=仕訳】
(借方)現金 9,600 (貸方)租税公課 10,000
雑損失 857 仮受消費税 457(※2)
※2: 収入印紙は、印紙として納税のために使用されたのではなく販売されたのですから、売上金額9,600円は課税対象取引(内税)となり、457円の仮受消費税が発生します。
設例[3]:金券ショップが額面10,000円の収入印紙を9,600円で仕入れ、それを9,800円で販売した(内税取引)
【仕入時の会計処理=仕訳】
(借方)仕入 9,143 (貸方)現金 9,600
仮払消費税 457
【売却時の会計処理=仕訳】
(借方)現金 9,800 (貸方)売上 9,333
仮受消費税 467
上記[1]~[3]の取引から、納税される消費税は924円(457+467)、控除される消費税は924円(467+457)、差引0円となり、税の転嫁は正しく行われたことが証明されます。
結論を言えば、 収入印紙は金券ショップでの購入が有利 です。
上記は私見であり、課税当局の確認を得たものではありません。また、当会計事務所の関与先に金券ショップはございません。
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